さて、前回、男女の好意と、上官と部下との関係は全然違うから、区別せい、とヴィッター少尉に注意されます。
アリス少尉はその辺よくわかっていないので、悩んじゃいますが、いったんその悩みを抱えながら、お仕事に戻ります。それほど、このカルッセルという町は変なのです。
異様に軍人を恐れている環境なのです。民間人である「独立国境警備隊」が起動装甲車(路面電車の戦車版)や装甲列車を持っていて、町を恐怖で支配します。裏では人身売買までやっているという組織です。
こいつらがこの町の実権を握っていて、住民は逆らえない、という構図です。
こいつらと情報部第2課、ヴィッター少尉の上官に当たる、ブランドン中尉が手を組んでいて、町の住民は支配に耐えていた、という感じです。
何が問題かというと、この町はものすごく閉鎖された環境にあるのです。外部との連絡がほぼない街。そして「独立国境警備隊」が町を支配し、住民は支配されている。とはいえ、独立国境警備隊がいなければ、いつお隣の敵国である共和国に痛めつけられるか分からない。だから従うしかない、という構図ですね。
さて、状況はそんな感じです
ここで、男女の好意と上官と部下の関係の問題を語るには欠かせない、フランシア伍長の話をしましょう。
ヴィッター少尉は、このフランシア伍長と夫婦という形で潜入任務をこなし、好きになります。
そう、部下を好きになったのです。こいつはもともと規則に忠実な人間です
一方、フランシア伍長はそんな規則に忠実な面を持つことに好意を持っています。
この辺がややこしいのですが、ヴィッター少尉は、「規則に忠実な」自分のことをフランシア伍長は好きなはず、と思っています。
まあなんだかんだで、この二人は両思いなのですが、「規則に忠実な」ヴィッター少尉ではなく、「規則に忠実にしようとして頑張っているがもろもろ抜けている」人間らしいヴィッター少尉が好きなのです。
ですので、ヴィッター少尉にプロポーズされた際に、フランシア伍長は「いったん私たちは上官と部下で…」といって断ります。
ヴィッター少尉はフラれたものと思います。まあ当然でしょう。そんなこともあって、アリス少尉に厳しく当たります。
そういうことを思って仕事をすると後で後悔するぞ、と。
このことを真剣に悩んだアリス少尉。
「愛」について語ります。
アリス少尉の愛とは、
二人のうちどちらかを殺さなくてはいけない状況に置かれたとする。
その場合に、どちらを殺すか選ばなくてはならない。
私は、より愛する方を殺す、と、
それは、私が公平である必要があるから。という理由。
そして、愛したやつになら一生許されないのも趣深いと思うかも。
という返答。
なかなか理解できかねるが、一生その人に認識しておいてほしい、という1点においては理解できました。
そして、オレルド准尉の考えが素晴らしいです。
恋人のために命をかける。あると思います。
家族のために命をかける。あると思います。
上官と部下が互いのために命をかける。 無くない?
仮にこれが成り立つのなら、恋人や家族と同様の純粋な愛だろう、と。
上官と部下だからこそたどり着ける境地がある、と!
それがなんなのか、この時点ではわかりませんが、最新刊が出れば分かる気がしています。
僕の思いを述べると、
あらゆる関係で愛を育てることができる。その関係その関係において、たどり着けるであろう境地を目指すことで、
愛の形は1つじゃないし、言葉では正確に伝えられないこともある。それをしっかりやれば、愛を育てられるさ、
なんてことを思っています。
次回は、町の住民を説得したオーランド伍長のセリフについてです。
次回から、気に言ったセリフごとにブログ書いていく感じにします。そっちのほうが思いのたけをぶつけれそうです。
終わり