MASTERキートン13巻より「臆病者の島」をご紹介したいと思います。
~あらすじ~
ある島にあるホテルにキートンさんと、若い兵隊がいました。談笑しているところに銃声が聞こえていくと、刑事さんが撃たれていました。病院で治療していると、刑事が追っていたマフィアに囲まれて、ホテル内の一室に閉じ込められてしまいます。
島なので、船がないと脱出できません。そこで、船づくりにキートンが駆り出されます。
その間に、若い兵隊は血気盛んですから、マフィア相手に戦おうとします。もう一人ここで重要な登場人物が出てきます。「アンゴラの白い豹」と呼ばれた元傭兵、フォスター元大佐です。
フォスター元大佐とキートンさんの見立てでは、このメンバーではマフィアには勝てないと考えています。ですが、キートンさんがいないので、若い兵隊は勇敢にも戦おうとしたのですが、マフィアに負けて、殺されそうになります。
フォスター大佐が、酔っぱらいのふりをして、この若い兵隊を助けます。ぼこぼこに殴っていましたが…
そうやってうまいこと気に入られて、相手の油断を誘って戦おうとしますがやはり一人では勝てず、負けそうになります。
そこへ、船の修理をしていたキートンさんがうまく敵をやっつけて戦いに参加して、救出する、というお話です。
ここでの議題は、「勇敢」とは何か、ということです。
一見、マフィアのような相手に立ち向かった若い兵隊は勇敢に見えるように思いますが、果たしてその勇敢さは正しいのでしょうか。事実、負けそうになっているので、無駄死になり、かつほかの人質たちも危険にさらすリスクがあったのです。
一方、元傭兵のフォスター大佐は、相手の力量を見極め、自分は酔っぱらったじいさんを装いながら、相手の油断を見極めて、戦おうとします。
それも、若い兵隊が失敗したしりぬぐいのためですから、それがなければ行動を起こさず、もっと冷静に対応していたでしょう。
この大佐は、傭兵という、死地を何度も潜り抜けてきた経験から、相手の力量を測り、そして、勇敢な無駄死にをせず、臆病に生きていくことが、生き残るための秘訣だということを言います。なんか、現場を経験してきた人としての重みのある言葉のように思います。
勇敢になることが、果たして正しいことなのか、表面上はかっこいいだけなのではないか、現実を知らずに語っている、お調子者なのではないか、とか批判的なことを考えてしまいます。
ですから、物事を冷静に見て、慎重にいくぐらいの人間のほうが、「かっこいい」大人なんじゃないかなあ、という風に思う時がよくあります。
ですので、そんな大人を目指して、日々生きていきたいと思います。
おわり
あでぃおす