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偉大なる経営イノベーター 小林一三⑥ ~戦中・戦後の小林~

というわけで、小林一三についていろいろご紹介してきました。

 

今回で終わりでございます。

 

前回、統制経済派と敵対して商工大臣を辞職しました。

そうすると、今度襲ってくるのは、小林が経営していた事業に対しての統制です。

 

阪急電車も、東京電燈などの会社は国有化され、宝塚歌劇団も本来の公演を行えない状態になっていました。

 

唯一、残ったのが、戦意高揚としての、「東宝」の映画でした。

 

まあ、つまり、小林としてはやることがなかった、ということです。

お茶などを楽しんでいたらしいですが、それも批判されたりと、いろいろ面倒だったようです。

 

そして、戦争が終わります。

すると、さっそく、戦後復興院総裁という役職に就きます。

当時は、占領下で、闇市が横行している状況になりました。

それに対して、

自由経済の復活をもって、貧乏な日本を立て直していこう」

という考えで、仕事に励みます。

 

ちなみに、あまりにも日本が悲惨な状態だったことに、小林は驚愕したそうです。

まあ、そりゃそうですよね。新聞とかでもうそばっかり書かれていて、正しい情報が得られなかったわけですから、仕方ありません。

 

ちなみに、

統制経済=国家の官僚が自分のやりたいように国を動かせる仕組み

なんです。逆に

自由経済=国民が国を動かすシステム

ということです。

 

なので、官僚としてはそのまま統制経済でうまみを独占しておきたい、となるわけです。

 

だから、思うように仕事ははかどらないし、誰に

 

「一刻も早い自由経済の導入による健全な日本の復活」

 

を訴えても、誰も聞いてくれないわけです。

 

そして、まさかのGHQによる公職追放リストに入れられて、またやめさせられることになります。

つまり、国の仕事では、全くの役立たず?というわけでした。

役立たずという言い方は語弊がありますが、自分の思うような仕事は全然できなかった、ということです。

本人もやめたがっていたそうです。

 

 

そして、再び隠居生活に戻り、

東宝vs東宝労働組合(裏には共産党)の戦いや、後輩育成をしながら、晩年を迎えます。

 

ということで、この本は終わります。小林一三の人生が分かる、いい本でした。

500ページもあったのでだいぶ時間かかりましたが、それだけ濃い人生だったのでしょう。

 

読み終えて思うのは、現代に小林一三が残したものがありふれているな、ということです。

 

阪急百貨店とターミナル駅の関係とか、いわゆるニュータウン構想とか、小林一三の考え方をパクった、という感じがしてしまいます。

細かいところはいろいろと違うのでしょうが、、、

 

人口が増えていく時代に、小林の事業は人々の幸せに大きく貢献したのでしょう。

金儲けのためでもあるんですが、

中産階級の生活向上」

を常に掲げて事業をしていたので、庶民と小林一三の関係はWin-Winといえるのではないでしょうか。

僕らも幸せになるし、小林自身も幸せになる。

 

こういう関係が生まれるのが、自由主義のいいところだし、それを実践して見せた小林一三は、やっぱりすごい人だったのだと思います。

 

なんか写真イケメンだし…イケメンって言うか、男前というか…

 

まあ、いいや、

ですが、今の人口減少時代に、小林が言ったような、郊外にマイホームを作って通う、というシステムはおそらく成り立たないでしょう。

その辺は、現代の生活に合わせて変えていく必要があると思います。

 

ですが、「中産階級の生活向上を通して、健全な精神をはぐくむ」をモットーにいろいろと事業を行い、この初心を忘れなかったことが、小林の成功の大きなポイントだと思います。

今でいう、「ビジョナリーカンパニー」とかいうやつですね。

 

そういう意味でも、先見の明があったのでしょう。

 

そんな感じの、すごい人でした。勉強になりました。ありがとう小林一三

 

 

終わり

アディオス

 

次は池上彰

「日本の戦後を知るための12人」

を紹介していきたいと思います。

 

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