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書評:身体はトラウマを記憶する トラウマが残るメカニズム

さて、ベッセル・ヴァン・デア・コーク著 

「身体はトラウマを記憶する」

 

について、書いていきたいと思います。

3回に分けて

 

1 トラウマが残るメカニズム

2 トラウマがフラッシュバックする原因

3 対処法

 

に分けて書いていきたいと思います。今回は1のメカニズムについて書いていきます。

 

 

トラウマとして記憶に残る、ということは、それほど強烈な出来事、ということです。

そんな記憶の保存方法とについて考えていきます。

 

記憶の保存方法ですが、通常の記憶は、脳の「前頭葉」というところに保存されます。前頭葉は、複雑な思考を行うことができる部位です。

 

ここに保存された出来事は、時間がたつにつれて忘れていきます。その際に、本当に重要なことだけは覚えておけるように、いろいろ記憶を改変しつつ、いい感じに忘れていきます。

 

ジェットコースターに乗ったとして、景色全部を保存していたら頭がパンクしますよね。だから、「ジェットコースターに乗ると楽しい」という記憶に改変して、残しておきます。

 

ざっくりいうと、そんな感じで、必要な情報を効率よく保存するシステムになっています。

 

もう1つの機能として、あとから記憶を改造できます。過去に起こった出来事を、自分の都合の良いように、変えてしまうことができます。

「昔は勉強大嫌いだったけど、今の自分にとってあの時間は必要だったから、今となってはいい時間だったなあ」

とか、そんな感じで、いい風に改造したり、逆に悪い風にも改造できたりします。

 

トラウマの記憶の残り方は違います。

もっと本能に近い部分に記憶されます。筆者は爬虫類脳と呼んでいます。人間にも、爬虫類にも必要な、生命保持機能を持っている部分ですね。

 

そこに残る記憶は、消えません。

 

生命が危機に瀕した情報という重要な情報だけを、そこに記録します。

ということは、その時と同じような状況になったら、次は死ぬかもしれません。

そうなったときに適切に対応できるよう、

 

「そんな重要な情報を脳に深く刻み込んでおこう」

 

というわけです。

 

この記憶方法で残念なのは、記憶を忘れられない、整理できない、ということです。

 

基本的に我々の体は原始人と一緒です。でも今はかなり快適な時代になっています。

ですが原始時代に合わせてチューニングされているので、色々とエラーが出てきます。

 

上で書いた爬虫類脳への記憶もその1つです。原始時代であれば、死にそうな状況は幾度となくある気がするので、死にそうなときの情報を記憶して、本能的に反応できるようにしたら、生き延びられる確率が上がりそうです。

 

ですが、現代はそんな時代ではありません。だから、そう何度も命の危機に瀕することはありません。

だから、そんなに深く記憶しておく必要はないのです。

ですが、我々の脳みそは原始人と一緒なので、トラウマになるような出来事を、忘れられないようにできているのです。

 

また、記憶を整理できない、というのが、問題になってきます。

記憶を整理できていないので、

 

「この状況は命の危機で、あの状況は命の危機ではない」

 

という区別をすることができません。

 

現代と原始時代は全然違い、現代は刺激がたくさんあります。

ですから、ある刺激に対して、体が間違えて反応して、

「これは命の危機だ」

として、命の危機でもなんでもない状況でも、体が反応してしまうのです。

 

そんなことが日常生活で起きることが、フラッシュバック、という現象です。

 

次回は、そのフラッシュバックについて、もう少し詳しく書いていきたいと思います。

フラッシュバックしている状態では、本当に脳が動いていません。その状態について書いていきたいと思います。

 

おわり

あでぃおす。

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