近現代トルコの本3冊目です。
これにて私的トルコのお勉強は完結です。
過去の本の内容も参考にしつつ、集大成的に書いていければなと思います。
過去記事はコチラ
本の詳細
本はこんな感じです。
文明史から見たトルコ革命――アタテュルクの知的形成
M・シュクリュ・ハーニオール (著)
本の概要
一時はトルコ国内では「批判をすれば法律違反」というくらい強固に批判することが避けられていた「ケマル・アタテュルク」。
彼を中心に彼の生前から死後までを含め、網羅的に
- オスマン帝国~トルコ建国~現在
に至るまでを概観する。
スタンスとしては「できるだけ公平かつ中立に、歴史的に見る」という点を中心としています。
つまり、ある程度批判的なことも言うよ?ということです。
概要を箇条書きでまとめました
- 「伝統的イスラム社会をどうにか近代化しよう」としている混乱の時代に、ケマル生誕
- 近代化の急先鋒みたいな町に生まれ、近代的軍人教育を受ける
- 第一次大戦でオスマン帝国がボロ負けする中、ケマルは将校として奮戦、イギリスを追い返したりする
- 英雄になる
- オスマン帝国敗北。むちゃくちゃな要求をされる。反対する勢力発生
- ケマル、抵抗勢力まとめて、勝手にアンカラ政府作る
- なんか旧政府ぶっ壊す
- vsギリシャを耐え抜いたのと外交力と、トルコ共和国完成
- イスラム色の低減と近代化を進めていたなか、ケマル逝去
- 現代いきすぎた近代化の反動か、イスラム的な主張をする人々が増えている
- この揺り戻しと近代化を何回も行ったり来たりしている感じ
大分ざっくり書いたらこんな感じの理解でした。
感想
トルコについて
トルコも大変だったんだな、という感想が最初に来ました。
日本も日露戦争や第二次大戦やらいろいろ大変なことがありましたが、世界中の各国で同じように大変な歴史があるのだなあ、と思いました。
近代化と言いながら宗教・文化みたいなものを変えるって言うのは、時間もかかるし、「やります」と言ったからやれるもんでもない。
ましてやそれを国民全員(反対派)にやらそうというわけですから。
こういうの見てると、やっと歴史の重みというのが分かる気がします。
「産業革命」「人権宣言」「第一次世界大戦」「大政奉還」
当時としたらマジでヤベー出来事だったんだろうなと。だから歴史の教科書に載るんだなあという気持ちです。
最近だと新型コロナウィルスとかが教科書載るのかなあ。
全然知らなかったトルコの歴史を一気に勉強できてよかったです。
ケマルについて
アインシュタイン的な天才ではなく、どっちかと言えば田中角栄に近い「コンピューター付きブルドーザー」みたいな感じかな、と思います。
とにかく実行力がある。
そしてそれをある程度国全体にやらせる力がある。
こんな人はあんまりいないんじゃないかなあ、という印象です。特に近現代で。
学術面で優れているというよりは、とにかく「政治」「軍事」「リーダーシップ」的なものにかなり秀でていた。
「実行力」という面で見てみると、マジでやっべえなこの人。と思えます。
戦争負けないし、、、
おわり。
この本がトルコという国の歴史・概観を知るのに一番良かったです。