とりのすけ_てきとう人間が頑張って生きてます

派遣社員とりのすけの「てきとうに生きてる記録」。書評・副業・どうでもいい話など、てきとーに続けられる話をまとめてます。

『日本国の研究』に学ぶ天下りの闇と税金の無駄遣い【書評】

先日、猪瀬直樹氏の『日本国の研究』(文春文庫)を読み終えました。
この本を読んで一番感じたのは、日本の官僚制度の闇の深さです。
表面的には見えない、しかし確実に私たちの税金を食い物にしている巧妙なシステムが存在していることに驚くと同時に、その複雑さがよく分かりました。

 

 

日本の行政改革に影響を与えた名著

『日本国の研究』は1996年に『文藝春秋』誌上で連載され、同年に文藝春秋読者賞を受賞した作品です。
単なる批判本ではなく、実際に日本の政治を動かした力を持つ書籍です

というのも、この本が小泉純一郎首相(当時は厚生大臣)の目にとまり、後に猪瀬氏自身が道路公団民営化推進委員会委員に任命されることになりました。
つまり、著者が批判するだけでなく、実際に改革の現場に立って戦ったという点で、他の批判本とは一線を画しています。
猪瀬さんは現在も日本維新の会参議院議員として政治に参加していますね。

ja.wikipedia.org

猪瀬直樹の鋭い視点と語り口

まず印象的だったのは、猪瀬氏の語り口です。
平民目線で、おかしなところを容赦なく批判していくそのスタイルは、読んでいて
「その通りだ!」
と思わず声に出してしまうほど説得力がありました。

例えば、山形と新潟の間の山々で見た光景。標高800メートルを超えると育たない杉を植え、誰も通らない道路にアスファルトを敷く。
一方で「財政危機だ、借金が400兆円もある」と言う。
この矛盾を鋭く突く視点は、言われてみるととても当たり前のことです。
そんな当たり前におかしなことが、いろいろなところで行われている。それがとてもよく分かります。

虎ノ門霞ヶ関・永田町の三角構造

この本で最も衝撃的だったのは、永田町(政治家)、霞ヶ関(官僚)に加えて、虎ノ門という第三の勢力の構造の存在です。
虎ノ門周辺には数多くの特殊法人公益法人が集結し、巧妙な利権構造を形成しています。

 

気づかない間に負担させられる国民

最も腹立たしいのは、私たち国民が知らない間に負担を強いられていることです。
一件あたりの負担は数百円程度かもしれません。
しかし、こうした「小さな負担」が積み重なって、巨大な利権構造を支えているのです。

気づかないし、とてもじゃないがその全部を把握できないからこそ、批判も起きにくいという巧妙さがあります。
そうやって、どんどん税金がよく分からない形で使われてしまう点をとても鮮やかに描き出しています。

財政投融資という「第二の予算」

もう1つ大きな問題が、財政投融資システムです。
郵便貯金や年金資金など百兆円規模の資金を、大蔵省(当時)が市場を通さずに配分する仕組み。
これを猪瀬氏は「国営銀行」と表現しています。

この資金が特殊法人に流れ、そこから子会社、孫会社へと複雑に枝分かれしていく。
まるで迷宮のような構造で、全体像を把握することは極めて困難です。
しかも、借り換えが許されないという謎の制約があり、市中銀行より高いコストでも借り続けなければならない仕組みになっています。

改革を阻む三つの壁

猪瀬氏が指摘する改革を阻む三つの問題点は、現在でも本質的に変わっていません:

  1. 行政情報の非開示 - 特殊法人公益法人の実態が見えない
  2. メディアの問題 - 記者クラブが行政の宣伝機関と化している
  3. 国民の問題 - 「お上」に弱く、複雑な仕組みを理解しきれない

虎ノ門公益法人)、霞ヶ関(官僚)、永田町(政治家)の三角構造を同時に変えなければ、根本的な解決は望めないのです。
特に、個人的には、メディアがこういうのをどんどん報じてほしいなあ、と思いました!

ぶっちゃけよく知らないんですよね。この辺。財政投融資とかも正直知らんかった。

だからこそ、誰かが分かりやすく解説してくれないかなって感じがします。
Youtuberでこういうきちんとした取材をして中田敦彦くらいわかりやすい解説をしてくれる人はいないものか笑

youtu.be



現代への示唆と私たちにできること

この本が書かれたのは1996年ですが、現在でも本質的な問題は変わっていないと感じます。
むしろ、組織は巧妙化し、より見えにくくなっているかもしれません。

小泉改革によって道路公団は民営化されましたが、それは氷山の一角に過ぎません。
似たような構造は他の分野でも温存されている可能性が高いでしょう。

今回、私にとっては、いわゆる天下りについてとても深く理解できたように思うし、補助金財政投融資の問題点がとてもよく分かりました。
そりゃ批判されても仕方ないわと思うし、メディアはぜひこういう話も取り上げてほしいと思いました。

おわりに

『日本国の研究』は、日本の官僚制度と財政投融資の問題点を分かりやすく解説した名著です。
1996年度文藝春秋読者賞を受賞し、その後の道路公団民営化の端緒となった歴史的作品でもあります。

単なる批判にとどまらず、著者自身が改革の現場に立って戦ったという事実が、この本の価値をさらに高めています。
天下り特殊法人の実態について深く理解でき、「そりゃ民営化に動くのも納得するし、とても大きな反対運動が起きるのもわかる」と納得せざるを得ません。

頭のいい人たちが有効活用できる抜け穴が、複数の階層構造によって巧妙に隠されている現実。
私たちが気づかない間に負担させられている仕組み。これらを知ることから、真の改革は始まるのかもしれません。