ここ数年で一気に広まったChatGPT。
文章の要約やメール作成、アイデア出しまで、あらゆる場面で活躍しています。
でも「このAIって、一体どうやってそれっぽい文章を作ってるの?」と気になったことはありませんか?
本書『ChatGPTの頭の中』は、その疑問にズバリ答えてくれる一冊。
AIの仕組みや理論的な背景を、専門的すぎないバランスで解説してくれます。
とはいえ、内容は決して軽くはなく、少し踏み込んだ知識を得たい人にとってはかなり読み応えのある内容です。
この記事では、本書の内容をかんたんに紹介しつつ
読んでみた感想や「どんな人におすすめか」もまとめていきます。
ChatGPTはどうやって文章をつくっているのか
簡単にまとめると、ChatGPTが自然な文章を生み出せるのは、学習したデータをもとに「次に来る単語」を予測しているからです。
本書『ChatGPTの頭の中』では、その“予測”がどのような仕組みで行われているのか、根本から丁寧に解説しています。
膨大なウェブページや書籍の情報をもとに、もっとも自然だと考えられる単語を少しずつ積み重ねていく。
その結果として、まるで人が書いたような文章が完成するというわけです。
ニューラルネットワークの基本原理
この予測の仕組みを支えているのが「ニューラルネットワーク」です。人間の脳神経をモデルにしたこの構造は、数値をやり取りしながら情報を処理する仕組みで構成されています。
たとえば「犬」と「猫」のように意味が近い単語は、数値的にも近い場所に配置されるようになっています。
このような数値表現を「埋め込み」と呼びます。
こうして、コンピューターが言葉の“意味”をある程度扱えるようになっているのです。
ChatGPTの限界とその背景
本書では、ChatGPTの課題についても触れられています。
特に算数など計算処理にはまだ弱いところがあり、すべてをAIだけで完結させるのは難しいとされています。
これは、AIが「正しさ」よりも「自然さ」を優先して文章を生成しているからです。
そして、まだ中身にはブラックボックスになっている部分も多いです。
このような弱点に対しては、Wolfram言語などの外部ツールとの連携が有効であると筆者は述べています。
将来的には、こういったツールと組み合わせることで、より弱点のないAIが実現する可能性も示唆されています。
読んでみた感想と読者へのアドバイス
率直な感想としては、全体的に内容はやや難しめです。
特にニューラルネットや数学的な概念については、ある程度の基礎知識があると理解がスムーズになると感じました。
ただ、「ChatGPTの仕組みをちゃんと知りたい」「なんとなく使っているけど中身を理解したい」と思っている方には、非常に有益な本です。
専門的な視点で書かれているぶん、初心者向けの解説書よりも一歩踏み込んだ知識を得ることができます。
逆に「使えればよいや」という人は初心者向けの本のほうが良いです!(私談)
どんな人におすすめか
『ChatGPTの頭の中』は以下のような方におすすめです。
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ChatGPTの中身を理論的に理解したい人
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AIのしくみに興味があるエンジニアや学生
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ニューラルネットワークの入門に挑戦したい人
一方で、AIの仕組みにあまり興味がない方や、理論や数学が苦手な方には、ややハードルが高い内容かもしれません。その場合は、もう少し入門向けの本から始めるのが良いでしょう。
まとめ:AIの「中身」を知ることで見えてくるもの
ChatGPTはただ便利なツールというだけでなく、その背後には膨大な数のネットワークと重みづけで計算された仕組みがあります。
本書を通してその仕組みに触れることで、普段何気なく使っているAIとの向き合い方が少し変わるかもしれません。