
僕たちが失敗した理由は、たくさんあります。
でも、最も大きな理由を一つ挙げるなら、それは「信頼」でした。
正確に言えば、信頼が消えたことです。
3人で始めた事業は、最終的に何も機能しなくなりました。
それは、お互いを信頼できなくなったからです。そして信頼が消えた理由は、シンプルでした。
約束を守らなかったからです。
遅刻と宿題未提出の日々
週に1〜2回、オンラインで会議をしていました。
朝9時開始が基本でした。
でも、メンバーの1人は遅刻を繰り返しました。
年間で40回以上です。週1〜2回の会議ですから、8割以上の確率で遅刻していた計算になります。
最初は指摘しました。
「次から気をつけよう」「ごめん、明日から直す」そう言っていました。
でも、直りませんでした。
次の週も遅刻。その次の週も遅刻。3回目の指摘をしたあたりで、僕は諦めました。
何を言っても変わらないんだと分かったからです。
それでも、3ヶ月に1回くらいはやる気を出して注意していました。でも、結局何も変わりませんでした。
宿題の未提出も同じでした。
「次の会議までに台本を作ってくる」「競合リサーチをまとめてくる」そう宣言して、
当日になると「忙しくてできなかった」と報告する。
事前連絡はありません。会議が始まってから言うんです。
もう1人のメンバーも、宿題の提出率は50%程度でした。
提出するときも、当日の朝にギリギリで出してくる。そんな状態が続きました。
僕自身は、約束は守りました。守れないときは、前日か前々日には必ず報告していました。だから余計に、この状況が理解できませんでした。
信頼が消えていった
最初の1年くらいは、まだ何とか許容していました。
「ベンチャーってこんなものかな」
「友人との企業だしな」
「目標は高く持って、達成率50%でもOK」
そんな風に自分を納得させていました。
でも、うちの場合は50%どころか0%の時が多かったんです。
2年目くらいから、明らかにおかしいと思い始めました。
これはただ単に、約束を守らないだけだ。
そう気づいたときには、僕の中で何かが壊れ始めていました。
怒りがありました。
「なんでできないんだ」「なんで報告しないんだ」と。
それを注意しても、その場では謝るが、何も変わりませんでした。
怒っても無駄だと分かったとき、諦めが来ました。
そして諦めの後には、虚無感が来ました。
もう何も期待しない。何も感じない。
感情を出すだけ無駄だし、ストレスになる。
だったら、ストレスを感じないように無になろう。
そう思って、僕は無になりました。
態度に出た
会議での僕の態度は、明らかに変わりました。
冷たくなりました。ほとんど喋らなくなりました。
「じゃあそれでやりましょう」しか言わなくなりました。
自分の意見を言っても、採用されようがされまいがどうでもいいと思っていました。
会議の内容もどうでもよかったです。
僕に宿題が振られなければいい。それだけを考えていました。
頭の中では、他の副業のことを考えていました。
この事業のことは、もう何も考えていませんでした。
それでも、リーダーは言いました。
「前に進んでいる」「みんな頑張ろう」
僕には、何も前に進んでいるようには見えませんでした。
改善の試みと挫折
一度、本気で話し合いをしました。
「この状況を変えたい」と伝えました。改善案も出しました。
遅刻が続くなら、会議の開始時間を10時や13時にしてはどうか。
生活リズムに合わせて、無理のない時間にしよう。
でも、その提案は反対されました。
「今の9時開始がベストだ」と言われました。
理由はよく分かりませんでした。
遅刻するのに、なぜ今の体制がベストなのか。
その瞬間、僕は完全に理解しました。
何を言っても無駄なんだ、と。
信頼がない組織は機能しない
この経験から、僕は一つのことを学びました。
信頼がなければ、組織は機能しない。
どんなに良いアイデアがあっても、どんなに可能性があっても、お互いを信頼できなければ、何も前に進みません。
信頼は、小さな約束を守ることで積み上がります。
そして、小さな約束を破ることで、簡単に崩れ落ちます。
遅刻をしない。宿題をやってくる。できないなら事前に連絡する。
そんな当たり前のことが、できませんでした。そしてそれが3年間続きました。
僕は、よく3年も耐えたと思います。
でも、耐えたところで、何も良いことはありませんでした。
信頼が失われた組織では、誰も幸せになれません。

