さて、前回に引き続き
「福島第一原発 一号機冷却「失敗の本質」
について書いていきたいと思います。
福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」 (講談社現代新書) [ NHKスペシャル『メルトダウン』取材班 ] 価格:924円 |
前回は、情報共有の不足と、仕事に優先順位をつけることが大事だ、という話をしました。
今回は、
小さいリスクは定期的にとるべし
という点について、話していきたいと思います。
リスク管理の考え方のお話です。
結構、読んでいて思うのは、考え方自体は、どこにでも、どんな仕事でも応用できるな、という点ですね。
この話も、そんな話です。
福島第一原発の1号機は、イソコンと呼ばれる原子炉を緊急時に冷やしてあげるための装置が付いていました。
このイソコンをうまく使えていれば、もう少し軽微な被害で済んでいた可能性がありましたが、地震の時には動かすことができませんでした。
なぜ、動かすことが出来なかったか。大きな問題点は、2つあるのかなと思っています。
40年くらい動かしていなかった。
実際に動かしたことがある人間がいなかった。
この2つです。
読んだ時、結構衝撃でした。
原子炉にとって、いざという時の冷却機能は、めちゃくちゃ大事な装置です。
それなのに、動かした頻度がそんなになかったなんて…
防災訓練を40年くらいやってなかったようなもんです。たとえが正しいかはわかりませんが…
なぜそんなに動かされなかったのか、といいますと。
- 訓練として動かすときに、原子炉に負担がかかってしまう。
- ちょっと操作を間違えると、放射線が微量ながら出てしまう危険がある。
- 動かすときにめっちゃうるさい
割とこんな理由です。
特に、2つ目が主な理由ではないかと思います。
詳しい機構はわかりませんが、放射線がちょっとでも出ると騒がれますから、これを嫌ったのだと思います。真相は分からないらしいです。
そんな緊急事態なんて起きやしないさ、と甘く考えていた、と言わざるを得ないように思います。
こういうことって、結構良くある話な気がするんです。
火事なんてたいして起きやしないからと、消火栓の点検を怠るとか
洪水なんて怒らないだろうから、防災マップの避難場所を確認しないとか
結構あると思うんです。こういうの
特に、それをすることで人様に迷惑をかけることになるとなおさらです。
こういう普段の気持ちみたいなところから、注意していかなくてはいけないのだろうな、と思いました。
ここから得られる教訓は、
小さいリスクは定期的にとるべし
です。
小さい放射能の放出のリスクを冒してでも、イソコンという冷却器を動かす訓練を普段からしておいて、大きなリスクに備える。
この行動はした方がよかったんだろうな、と思います。
僕らもそうです。
いざという時のために、保存食を用意しておくとか、
めったにないけど、クレームが来た時のために、対応マニュアルを用意し、訓練をしておく
とか、おおきな間違いを犯さないために、小さいリスクをとってでも、それによって無駄な時間をとったとしても、やるべきなんだと思います。
最初に、問題点として挙げた。
実際に動かしたことがある人間がいなかった。
という問題も、小さいリスクをとることで対応できます。
普段から、訓練をしたり動かしたりしているので、慣れているんです。
というより、
使ったことがある
使ったことがない
やったことがある
やったことがない
これって、すごく大きな違いな気がしませんか?
自分の経験でも、一度でも使ったことや、やったことがあることだと、安心して動かしたりできますが、逆だと、結構不安のままやらざるを得ません。
その経験って言うのが、非常に重要というか、暗黙知のようなもの、実はすごく大事だったりします。
詳しくは本に書いてありますが、音とか煙とかで、機械の動作状況って言うのは判断できます。
そういうノウハウが、重要なんですよね。本当に。
そういうのを大事にしていきましょう。というお話でした。
おわり。
アディオス。
福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」 (講談社現代新書) [ NHKスペシャル『メルトダウン』取材班 ] 価格:924円 |