「腹が減っては戦はできぬ」は思ったより重要だった。
という本。
戦争とロジスティクス
石津朋之著
を読んでみました。
戦争の勝敗を決定づけるのは、「ものを運べる能力」でした。
戦争の勝敗を決めるのは「補給」だった
戦争における勝敗は、兵士の勇気や指揮官の卓越した戦略で決まると思われがちです。そういう側面を前面に押し出した本や映画が多い気もします。
しかし、『戦争とロジスティクス』は、実際には「ロジスティクス(兵站)」が戦争の行方を大きく左右していることを教えてくれます。
食糧や武器をいかに前線に送り届けるか、これが戦略以上に重要な要素なのです。
「腹が減っては戦はできぬ」という言葉があるように、戦争の歴史を紐解けば、物流の問題が勝敗を分けた事例が数多く存在します。
ナポレオン戦争や古代ローマの遠征など、ロジスティクスの良し悪しが戦局に大きな影響を及ぼしたのです。
ロジスティクスの進化が戦争を変えた
中世の戦争など、かつては現地徴発(略奪)をメインにして食料を賄ってきました。
ところが、19世紀の鉄道の登場によって大きく状況が変わります。
銃後から以下にものを届けられるかが重要となりました。
20世紀にはコンテナやパレットが普及。現代ではRFID(電子タグ)も活用して効率化が図られています。
このように、技術の進化によって物流の効率は向上したものの、課題も残っています。その代表例が「ラストワンマイル問題」です。最前線までの補給がいまだに難しく、人力に頼らざるを得ない場面も多いのが現状です。
現代の戦争が直面するロジスティクスの課題
現代のロジスティクスはかつてないほど進化していますが、課題はまだ残されています。
特に「ラストワンマイル問題」は、最前線への物資の届け方において大きなハードルとなっています。
ドローンやAIの技術がこの課題を解決する鍵として注目されていますが、それらが十分に実用化されるにはもう少し時間が必要でしょう。
また、現代戦では民間の物流網との連携が重要性を増しています。
湾岸戦争の際、民間企業が軍事補給を支えた事例はその象徴です。しかし、民間との協力にはコストや安全保障上の懸念が伴い、適切なバランスを取ることが求められます。
感想
こういう本質を探るような本が好きで、つい買ってしまいました。
要は「ちゃんとした補給が地味だけどめっちゃ大事」ということを一貫して伝えている本でした。
ちょっと長ったらしく感じてしまいましたが、繰り返し何度も説明してくれるので、その重要性は良く分かる本でした。
第二次大戦のヨーロッパ側の戦争についてあまり詳しく知らない人間だったので、そこについても知れたのは良かったです。
ロンメル将軍とか、名前だけは聞いていたので、どんな人か少し知ることができました。
まとめ – ロジスティクスは戦争を超えた基盤
『戦争とロジスティクス』は、戦争という非日常的なテーマを扱いながらも、物流という現代社会の基盤を再認識させてくれる一冊です。
物流革命は戦争だけでなく、私たちの生活や未来にも大きな影響を与える可能性を秘めています。