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書評:不毛地帯② シベリアから日本へ帰国

 


 

 

 

さて、前回に引き続き、

山崎豊子 著

不毛地帯

について書いていきたいと思います。

 

主人公の壹岐中佐は、シベリアに捕虜として連行されました。

 

通常であれば、捕虜は、将校が指揮を執り、兵隊が労務に従う。

将校は労役は課されない、というのが国際ルールで決まっていました。

 

日本もそうですが、なかなかこのルールが守れなかった部分があります。

 

特に、軽度の労役はOK、みたいな感じですが、軽度ってなんやねんって話ですし、そもそも負けている側とか、もろもろ物資が足りていない状況でそれができるかと言えば、話は変わってきます。

 

という感じで、主人公の壹岐中佐も、労役をしなければいけません。

もともときつい作業の上に、普段肉体労働をしていない分だけ、非常につらいものです。

日本人にはなれない極寒の土地ですし。

バタバタと同僚が死んでいきます。

 

んで、もろもろあって、もう、捕虜としての取り扱いではなく、犯罪者としての取り扱いとなります。

共産主義的なところがある、というような罪です。

日本人だからそりゃそうだろ、しかも捕虜だし、という気がしますが、当然、弁護人がいるわけでもないので、有罪判決を受けます。

 

 

ここからが特にしんどそうでした。

シベリアのさらに北、海の上にある島で、鉱山開発の労役に課されます。

12時間労働して、少ない飯を食べ、楽しみもなく、病期になっても医者にかかれない。

 

そんな状況です。

 

良く生きて帰ってこれたものだ、という気がします。

歯が何本も抜け落ちて、肌もあれまくりという状況です。

生きてるだけで偉い、という所でしょうか。

 

 

そこでも何とか生き延びつつ、囚人たちの助けもあり、壹岐中佐は、いったん日本人が収容されている収容所に戻ることが出来ました。

 

そこでも、苦難があります。

そして、ハンガーストライキを実施することによって、収容所の監督官と戦い、そして、日本とソ連の交渉の末、ついに帰国できました。

 

そして、2年の休養期間ののち、商社マンとしての道を歩んでいくことになります。

 

面白いというか、興味深いというか、ややこしい気がしますが、当然この時もかなりつらい人生ですが、ここから先、商社マンとしての人生も結構きついのです。

 

軍人として日本のために命を懸けて、そして捕虜となり人生のどん底と言っていい場所に落ちてから、商社の会長みたいな栄華極まるところまで上り詰めるのですが、そのギャップが、なんとも気持ち悪いというか、そこで生まれる苦悩というものが、この本の醍醐味ではないか、という気がします。

 

次は、次期戦闘機の納入バトルのところですかね。

 

終わり、

アディオス。