さて、間が空きましたが、山崎豊子著 不毛地帯についてさらに書いていきたいと思います。
この人の書き方と、新聞記者だった経歴から、ここに書かれているフィクションの物語が、実際にあったのではないか、という気にさせてしまいます。
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ということで、今回は、戦闘機の納入事件について書いていきたいと思います。
この物語で大きいのは、
- 戦闘機の納入
- 自動車会社の提携
- 石油開発
の大きく3本立て、といったところでしょうか。
その中で最初の、戦闘機納入についてのお話です。
もともと、商社マンとして生きていくのに、過去の経歴、つまりは軍人だった経歴や人脈を生かして仕事をするのは嫌だ!と言ってそもそも商社に入ります。
それで、色々と繊維のこととか勉強しつつ、特に仕事もない毎日を送ります。
そんな中、社長の意向やらいろんなしがらみを混ぜて、アメリカ出張に行くことになります。そこで、昔の仲間が、戦闘機の納入の仕事をしている場面に出くわします。
出くわします、というか、仕組まれた結果出会います。
その出会いによって、戦闘機の納入の裏に渦巻く、色々なしがらみがあることを知ります。
2社が競合していたのですが、1社のほうが日本に向いている、性能のいい機体。もう1社のほうは性能は劣ります。
そんな状況なので、性能的に見れば、自衛隊が分からしても良い機体は明らかです。
そのまま素直に戦闘機の納入が、性能のいい機体にならないところが、この話の大事なポイントです。
なぜ、そうならないのか。それは、政治とカネの問題です。
献金やら、選挙やら、この会社の社長は誰と仲がいいとやら、そういった面で、性能の悪い機体のほうでほぼ、決まりかけている、という状況だということを知ります。
元陸軍参謀としても、そして、仲間のためにも、いろいろ頑張って、日本のためとして、性能のいい機体を、勝ち取ります。
ただ、そこで美談にならないのが山崎豊子です。
要は、性能のいい機体を勝ち取るために、色々と、悪いことをしたわけです。
犯罪ではないですが、裏取引というか、そういった類のものです。
それが、結果として正しくないことをしてしまったと、壹岐中佐を苦しめていくわけです。
ちなみに、話の中で、仲間の1人が自殺をします。
これも、心を苦しめます。
順風満帆とはいかないが、商社マンとしての評価を一気に上げた、そんな出来事でした。この辺の葛藤が、山崎豊子の書き出す人間臭さで、非常に魅力的な部分かと思います。
というわけで、後味の悪い感じで、戦闘機の話が終わり、今度は心機一転、アメリカでの自動車提携話です。
おわり、
アディオス。
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