「僕は彼女と別れて、少しだけ大人になったような気がする…」
マスターキートン3巻 「昼下がりの大冒険」より
マスターキートンはどんなマンガ?
考古学者兼保険の調査員である平賀・キートン・太一が主人公のマンガです。
実はイギリス特殊空挺部隊(SAS)に所属していたこともあるサバイバルのスペシャリストでもあり、設定もりもりの主人公です。
この主人公が、昔からの夢である考古学者になりたいのだが、現実は大学講師になることさえ厳しい…
仕方なく危険な業務もある保険の調査員をしながら、いろいろな事件を解決していく、という物語です。
今回は3巻について書いていきたいと思います。
マスターキートンは全18巻ですが、その中でも特にハートフルなお話が多い3巻。
今回はその中でも「昼下がりの大冒険」について取り上げます
「昼下がりの大冒険」あらすじ
登場人物は2人。一人は主人公のキートン。
もう一人はキートンの学生時代の友人 Mr.ミルトン。
大手銀行の部長でありながら、直近の大きな仕事の失敗の責任をとって辞職した人物です。離婚も仕立てで未練たらたら状態。
この2人がちょうど、ロンドンの移動販売のアイスを買おうとしているところで出会い、話が始まります。
その場でテンションが上がってしまい、アイスを買うのを忘れて食事をしてしまいます。
んで、Mr.ミルトンは、辞職とともに離婚もしているという、暗~い話をしてテンションが下がります。
ちなみにキートンも離婚経験者なので、2人とも落ち込んでしまいます。
そんな感じでテンション低めで散歩していたところ、先ほど買い忘れたアイスクリーム屋さんを再び見つけて、それを子供のように追いかけて元気を出す、というお話です。
感想
この話は、「離婚」「退職」とかいう大人の大きな悩みと、
「アイスクリーム」という子供が好きそうなものとの対比が、美しく感じました。
大きな悩みを抱えた大人2人が、空元気かもしれないけれど、アイスを求めてチャリンコで追いかける。
ちょっとほろ苦い疾走感を感じます。
このような子供のような行動を通じて、悩みを抱えて落ち込んだ気持ちをちょっと立て直していく。そんなお話です。
最後のキートンのセリフが、また余韻を掻き立てます。
「僕は彼女と別れて、少しだけ大人になったような気がする…」
マスターキートン3巻 「昼下がりの大冒険」より
私も30歳になろうかというくらいなんですが、
まだまだ頭の方は高校生から進歩していないな、と思う時がほとんど毎日あります。
それでも「お世話になっております」とか「申し訳ございません」とか「この度は~~」みたいな言葉をそれっぽく使って、大人っぽい振る舞いをして頑張っています。
子供が大人のふりをしているような、そんな感覚で毎日生きています。
この話は、そんな大人の感覚を繊細に描いてくれているような気がしました。
そして、自分の弱さみたいな、くだらないプライドみたいなものを。
ただ強がっている自分を、そういう認めたくない自分を映し出してくれています。
そういうちょっと切ない気分にもなりながら、「でもまあぼちぼち頑張るか!」
そんな気持ちにさせてくれる3巻でした。
ちょっと前までマスターキートンは電子書籍でも読めなかったのに、読めるようになったの、うらやましい。
わざわざブックオフで全巻揃えたのに…
おわり