いい話ダナー🥲
マスターキートン14巻
についてレビューしていきたいと思います。
いい話が2本あったので、2回に分けて書いていきたいと思います。
マスターキートンはどんなマンガ?
考古学者兼保険の調査員である平賀・キートン・太一が主人公のマンガです。
実はイギリス特殊空挺部隊(SAS)に所属していたこともあるサバイバルのスペシャリストでもあり、設定もりもりの主人公です。
この主人公が、昔からの夢である考古学者になりたいのだが、現実は講師に就職することすら厳しい…
仕方なく危険な業務もある保険の調査員をしながら、いろいろな事件を解決していく、という物語です。
今回は14巻「塔の男」について紹介したいと思います。
14巻「塔の男」あらすじ
キートンが日本に帰っているとき、大学時代の同級生の御木に偶然出会います。
彼は東京に大きなビルを建てている建設会社の社長。バリバリ働いています。
学生時代から、強気で押していた彼。
そんな彼ですから、仕事もうまく行っているし、そもそも負ける、という発想すらない。
どちらかと言えば、人に弱みを見せない男です。
しかし、そんな御木も人間。
バブルがはじけ、会社が倒産します。
その大きなビルの建設途中での倒産です。
事情を知ったキートンは、御木に会いに行きます。
慰めようとしますが、御木も強気な男。
どちらかと言えば軟弱タイプの性格のキートンには、言うべき言葉が見つかりません。
そんなキートンは、とある方法を思いつきます。
御木を散歩に誘い、おじいさん同士がやっている「草ラグビー」の試合を見せます。
最後2点負けていて、体力も切れているチームの1人がけがをしてしまいます。
助っ人として、この御木が出ることになります。
…細かいことはいいじゃないですか笑。出るんです!
そして、2点差、ラグビーにはドロップゴールという手段で、3点をとることが出来ます。
御木がこのキックをけるのですが、惜しくも外れてしまいます。
そして、「僕はこんな負けた人生を送るんだよな」と自虐してしまいます。
そこにおじいさんたちが声を掛けます。
「くよくよすんな。惜しかったぜ!いいキックだ」
「負けの数が多いほど、買った時の喜びもでかいもんだぜ」
と、倒産したばかり社長なんてことも知らない人たちから、すごくいい言葉をかけてもらいます。
その言葉で御木が涙する、というシーンでこの話が終わります。
感想~最後の描写がさすが浦沢直樹
最後、御木が涙するシーンで終わる、と書きました。
これ、無言でキートンと御木が見つめ合い、お互い言葉は交わさず、最後のコマで御木が笑顔で泣いている、というシーンなんです。
「ことばでは伝えられないけれど、気持ちは伝わったよ」
そんな描写だったと思います。
私、こういうのに弱いんですよねえ。
なんか、心が通じ合ってるぜ!みたいなやつ。
そして、こういう境遇で、情けない自分を披露してしまうけど、それでも頑張る。
これこそ人間って気がします。
こういうのを知っている人、つまり、挫折みたいなものを知っている方が、どうも人生豊かになるんじゃないか。
酸いも甘いも知っている方が、人間として深みが出る気がします。
ゆーて甘やかされて育ってきた人間です。私。
痛いのは嫌だし、酸っぱいのも嫌です。
でも、酸っぱい経験をしたときに、こういう話を読んでおくと、
「それほど悪いことでもないのかも」
と思えることが出来るような気がします。
生きてりゃ後悔なんてザラですが、その時間を短くしてくれる効果が、このエピソードにはある気がします。
そんな気分を味わいたい方は、下のリンクで、全巻かっちゃえ!
おわり
あでぃおす。