さて、MASTERキートン9巻、2つ目のエピソードを紹介していきたいと思います。
結構、人気のあるエピソード、CHAPTER9「シャトーラジョンシュ1944」です。
ワインの醸造所であるシャトーの話ですね。
このワイナリーは、赤字続きで、経営の改善が求められている状況です。
今まで、伝統的な、天候次第の、神の思し召しに従ったワインづくりを行ってきました。
当然、出来のいい時もあれば、出来の悪い時もある、そういった作り方です。
その中の最高傑作が、1944年、第二次世界大戦真っただ中に作られたヴィンテージのものなのです。
それを1本だけ保管してあり、今ではめちゃめちゃ価値のあるものになっています。
このシャトーは、現当主と、先生兼助手であるリベロさんの2人でこれまでやってきましたが、新しい奥さんが経営に入りました。
結果、いわゆる、工業化した、ステンレスのタンクなどを使った、現代の工業的なワインづくりに変えていくことになりました。
表面上はOKした当主ですが、心の中にはやっぱり、伝統的な製法を続けたいという思いがあったようです。
新しい経営を始めるには、ステンレスのタンクを買わないといけないので、お金が必要です。
そのため、この当主とリベロさんが、「神の助けが必要なほど追い詰められたら飲もう」として保管しておいた残り1本の1944年物のワインを担保とした融資を実施することになります。
このワインは、最高傑作であり、この2人が、銃弾が飛び交う中ワインを収穫し、そしてドイツ兵に盗まれそうになりながら、命がけで守ったワインです。
だから、
「融資の担保にするなんて…」
という思いがあったのでしょう。
融資が決まるパーティで、そのワインを渡すという式典が執り行われたのですが、当主、いやだったのでしょう、最後の抵抗に、そのくっそ高いワインを落として、融資を破綻させます。
何という荒業…
魂は売れない、といったところでしょうか。
特に、命を懸けて守ったワインですから、思いが詰まっているのでしょう。
日本だったら日経新聞の1面に乗りそうな話題です笑。
さて、そして、奥さんは当然出ていきます。融資が破綻になったのですから、、、
そして、金も何もなくなった当主は、もうすべてがお終わった、リベロさんも雇えない、さよなら…
といった気分です
そこへ、リベロさんが
「まあ、最後にワインでも飲みましょうや」
とワインを持ってきます。
そのワインこそが、なんと1944年物だったのです!
リベロさんは、当主がこれわざと落とすやろなあ、ということで、ワインをすり替えておいたのだそうです。
そして、これを飲んで、これからまた頑張っていこう!というところで物語が終わります。
いい話ですね。
やっぱり、命を懸けて守ったものや、魂みたいなものは、売ったり、金にしてはいかんなあ、と思いました、どれだけ困っても。
いやなものは嫌だ、といえる大人になりたいものです。命がけで得たものが、〇〇万円、と言われても、そんな金じゃ価値はわからねえよ!と言いたくなります。
この当主も、表面上はOKと言いながら、心ではNGだったわけです。
経営の立て直しにはしょうがないとか、そういう言い訳を頭の中で考えて、行動したわけですね。
結果、魂にうそついていたわけですから、割っちゃいます。
そういう心の声は、大事にしましょう。というお話だったと思います。
おわり
アディオス